自然豊かなスウェーデンは北欧スカンジナビア半島にある国です。
オーロラが見れることでも有名ですよね。

美しい街並みも観光客も魅了して止みません。

そんなスウェーデンには15個の世界遺産があります。
歴史的にも貴重な遺産や、スウェーデンならではの風景を丸ごと集めた遺産までさまざま。

日本より少し広い国土に点在する世界遺産をすべてご紹介します。
世界遺産でスウェーデンの素晴らしさに酔いしれてください。

スウェーデンの世界遺産「文化遺産編」

文化遺産は全部で13ヵ所あります。
北欧を思わせる建物から、スウェーデンの産業を支えた遺産もあり、見ごたえも十分。

当時の面影を残しつつ、現代まで伝えている文化遺産はこちらです。

ドロットニングホルムの王領地

1991年に登録された、スウェーデンで最初の世界遺産です。

1668年に完成したドロットニングホルム宮殿は、スウェーデン語で王妃の小島を意味しています。
また北欧のベルサイユ宮殿とも称されるドロットニングホルム宮殿は、現在もスウェーデン国王が住居として利用している場所。
住居以外を一般公開しています。

この宮殿は当時の国王フレドリク1世が、自分の子どもの結婚祝いとしてプレゼントしたものです。
庭園にはバロック様式が採用され、見事な出来栄え。

グスタフ3世のときには、毎年演劇や舞踏会など華やかな催しが開催されていました。
グスタフ3世が亡くなってからは使われることがなくなります。

環境もいいことから、現在のカール16世国王はこの地を気に入り住居を移したといわれています。

ビルカとホーヴゴーデン

1993年、ビルカとホーヴゴーデンは世界遺産として登録されました。

メーラレン湖に浮かぶヴェルケ島ビルカ。
19世紀、ビルカ遺跡が発見されたことで世間に知られるようになります。
ビルカは独自のコインを発行しており、ビルカコインとして多数出土しました。

10世紀までは栄えていたとされるビルカも、980年前には衰退したと考えらえています。

同じくメーラレン湖にあるアデルスユー島にあるのがホーヴゴーデンです。

ここには9世紀に作られたとされる墓所がたくさん見つかりました。
豪族以外にも農民の墓所など、数千にのぼるといわれています。
当時はバイキングという海賊が占領していましたが、くしくもいちばん栄えていたのがこの時代です。

スウェーデン最古のキリスト教集会所の遺跡やバイキング時代の遺跡も残されています。

エンゲルスバーリ製鉄所

1993年に世界遺産に登録されたエンゲルスバーリ製鉄所。

13世紀には、溶鉱炉を使って鉄の生産が行われていました。
自治体の政策のもと、1681年に製鉄所を建設。
そのおかげでエンゲルスバーリは経済的に高になり、鉄の生産が活発化しました。

スウェーデンで初めて棒鋼が生産されたのもエンゲルスバーリです。
そのときに活躍した製鉄所は19世紀まで現役として活動しました。

当時の建物は50以上も現存しており、エンゲルスバーリの繁栄を伺うことができます。

ターヌムの岩絵群

ターヌムの岩絵群は1994年に世界遺産に登録されました。

1972年、たまたま建設工事中の発破を仕掛けようとしたところ発見された岩石線画群。
約100枚のパネル画に3000あまりの岩石線画が描かれています。
この岩石線画は青銅器時代のものといわれており、スカンジナビア半島で最大級のものも現存。

当時の様子が描かれた岩石線画には、荷車や船など実際に使われていたとされる乗り物のほか、狩人や狩猟の光景、農作業の風景などがあります。

環境汚染により劣化していることから、赤い塗料で塗り直し観光客に見えやすいようにしているので、今でははっきり鑑賞できます。

スコーグスシュルコゴーデン

別名「森の墓地」とも呼ばれるスコーグスシュルコゴーデン。
1994年に世界遺産に登録されました。

ストックホルム郊外にある共同墓地で20世紀に完成したものです。
1914～1915年にかけて墓地の設計コンペが開催。
スウェーデンで初めてとされる火葬を前提とした葬祭場と墓地が併設されたものです。

しかし火葬場が完成したのは1940年と25年の年月がかかりました。

この森の墓地とは、北欧人にとっては故郷とも呼べる場所。
森へ還って人間の運命を悟らせる表現を実現させました。
近隣のタルームパビリオンでは、墓地を手掛けた2人の建築家と墓地に関する展示を見学できます。

20世紀以降に建築されたものとしては、当時世界でもっとも早く登録となり話題になりました。

ハンザ同盟都市ヴィスビュー

1995年に世界遺産に登録されたハンザ同盟年ヴィスビュー。

300年もの間、デンマークに占領されていましたが、1645年スウェーデン領地に返還されました。
もともとは要塞として使われており、旧市街は当時のままの状態で石壁で囲まれています。
また、最近までも軍事基地の中心的存在でした。
そのため、冷戦期は一般の立ち入りは禁止され、閉鎖都市となります。

ハンザ同盟都市ヴィスビューは、バラの都ともいわれれおり、ヴィスビューの街を歩けば、たくさんのバラに遭遇。
心も癒やされます。

ルレオのガンメルスタードの教会街

ルレオのガンメルスタードの教会街は1996年に世界遺産に登録されました。

15世紀に建造された石造りの教会には、400軒以上もの家屋が取り囲むように建ち並んでいます。
この家屋はシュルクスタードと呼ばれるもの。宗教上の祭事にのみ使われていました。
また教区は広大なため、礼拝者は移動も大変でした。

そのため教会の近くには宿泊施設も設けられていたといわれています。

もともとは街の中心だった場所も、17世紀に新しい街が形成され住民が移動。
現在のルレオの中心はその名残です。

カールスクルーナの軍港

1998年に世界遺産に登録されたカールスクルーナの軍港。

街の建設と同時に始まったカールスクルーナの軍港には、伝統的な教会が今も残っています。
その中でも街の象徴とされるフレデリック教会。
1744年位完成しました。
今までのスウェーデン建築とは大きく違い、壁は黄色に塗られています。見事な装飾で飾られているのも特徴的。

ほかにも聖三位一体教会は赤色に塗られた教会です。
1685年とフレデリック教会よりも先に建設されましたが、ここは海軍のための教会として使われていました。

カールスクルーナの軍港は、「ウィスキー・オン・ザ・ロック」の事件の舞台になった場所としても知られています。

エーランド島南部の農業景観

エーランド島南部の農業景観は、2000年に世界遺産に登録されました。

石灰岩に覆われた不毛の平原に希少種が多く生息している地域です。
500年までは、人類が生活していた集落の跡も残っています。
木造の小屋の跡、動物の骨などを使った加工品も出土。

しかし人口増加により、この地で暮らすことが困難になった先住民は、エーランド島から失速したと考えられています。

氷河期から残存している植物も生息している、世界でも類を見ない貴重な場所です。

ファールンの大銅山地域

2001年に世界遺産に登録されたファールンの大銅山地域。

13世紀には既に銅の産出が開始され、14世紀には街も形成し賑わいを見せていました。
ファーレンを中心に、半径10㎞以内には溶鉱炉用供給地。
その様子は旧銅山に併設されている博物館で見学できます。

1992年に幕を閉じたファーレンの銅産業ですが、街の発展は維持したまま。
スウェーデンでも最大規模の都市となっています。

ヴァールベリのグリントン無線局

2004年に世界遺産に登録された当時、「ヴァールベリの無線局」でした。
2014年に現在の名称に改称しています。

ここは世界で唯一の稼働可能なアレキサンダーソン式の超長波送信機を備えている場所です。
その姿はまるで送電用の鉄塔のよう。

1924年に完成し、1950年代までは大西洋横断無線電信の送信として使われていました。
その後は潜水艦への送信も行われています。

1996年、旧式となりその役目を終了。
しかし送信機の状態が良好だったため、スウェーデンの史蹟として指定されました。
その後、世界遺産に登録されたのです。

シュトルーヴェの測地弧

2005年に世界遺産に登録されたシュトルーヴェの測地弧。

子午線弧長の三角測量のために設置された三角点群です。
現在は10ヵ国にまたがる珍しいものですが、設置当時は、スウェーデンとノルウェーにしかありませんでした。

この三角点群は、地球の大きさを測る上で大きな貢献を果たしたもの。
265ヵ所に測量点が設けられていました。
そのうち34ヵ所が世界遺産の対象となります。

ヘルシングランドの装飾農家群

ヘルシングランドの装飾農家群は、2012年に世界遺産に登録されました。

ヘンシングランドには、1,000あまりものファームハウスが残っています。
このファームハウスは、スウェーデンを代表する伝統的な技術が施されているもの。

家屋として利用されたものもあれば、祭事のみに利用されたものまでさまざまです。

スウェーデンの世界遺産「自然遺産編」

スウェーデンは、自然と切っても切れない関係の国。
氷河によって作り出された地形が評価され、世界遺産に登録されました。

ヘーガ・クステンとクヴァルケン群島

スウェーデンとノルウェーをまたいで登録されたヘーガ・クステンとクヴァルケン群島。
ヘーガ・クステンはスウェーデン側の領地で、もともとは単独で2000年に世界遺産に登録されていました。

しかし、同じくバルト海にあるクヴァルケン群島もヘーガ・クステンと同じ現象が観測されたことから、2006年に拡大登録されます。

氷河の影響で土地が隆起した一帯ですが、氷河期の氷床の形成により隆起にのしかかり隆起への重みが軽減されました。
その反動でリバウンド現象が起き、年間約1㎝の隆起を繰り返しています。

これらの地は入り江が多く、湖や島など複雑な景観を作り上げていることでも有名です。

スウェーデンの世界遺産「複合遺産編」

スウェーデンには先住民族が暮らしていました。
定住民族にもかかわらず、手つかずの自然が現在も残されているとして、複合遺産として登録。

神秘的な自然の宝庫です。

ラポニア地域

ラボニア地域はスウェーデンの山岳地帯で、1996年に世界遺産に登録されました。

サーメ人という先住民族が暮らしていた地域で、人口増加にもかかわらず今も変わらない自然が残されています。

ラボニア地域には4つの国立公園と2つの自然保護区で守られています。
約9,400㎢という広大な敷地には、多様性に富んだ特色を持っているのも特徴です。

まとめ

スウェーデンには全部で15個の世界遺産があります。
手つかずの自然が残されたスウェーデンでは、世界遺産も壮大なものばかり。
またスウェーデンの発展に貢献した産業が多く登録されているのも特徴です。
この記事ではすべての世界遺産をご紹介します。